ブランドデザイン : 株式会社折紙 / ORIGAMI INC. | 沖縄 – 東京

2018-03-28

クリエイティブ・ディレクションのポイント 1/2

実際、デザインの価値と値段を決定づけるのはディレクション(の力量)に依るところが大きいでしょう。ディレクションが機能しなければ、プロジェクトは迷走・停滞し不穏な空気が漂いはじめます。チームに不安や不信が見え隠れし出すと、コミュニケーションが乱雑・陰湿へと変質していきます。隣の芝生に目が向き出し、無意味な照会や再認識のための死に作業(端から捨てるための生け贄的作業)が生じ、行き違いやトラブル、インシデント、アクシデント、不毛な移動や長時間労働等、至る所に疲労が蓄積されていきます。
結果、予算や期間は超過、採算の得られない案件は経営を圧迫し、挙げ句の果てに妥協の産物のような成果物を押し込んで、誰の役にも立たず、自らの社会的評価を貶めるというアリ地獄の様相です。こんなこと繰り返してたらそりゃ仕事続くわけないよね。
ここで連ねた、胸の痛みを誘発しそうな数々の現象はディレクションが機能していればまず発生しませんし、ちょうど反転させた状態を創りだすことができます。ディレクターは戦略を特定し、これを誰よりも深く理解している必要があり、戦略を推進する要素と損ねる要素を把握し、方向感を先導しながら繰り返し全体に働きかけ、不測やイレギュラーをしなやかに吸収し、進捗と品質、予算と経費を絶妙にコントロールしなければなりません。

もっと前段に遡ると、戦略を理解しない力量に劣るディレクターは本質的な問題提起や企画、プレゼンテーションが叶いませんのでプロジェクト受託の機会を獲得できないか、相見積り額面で評価されるか、誰もが避けたがる業務を甘んじて受け入れざるを得ません。コミットメントが抜け落ちたプロジェクトが瓦解しやすいのは当然で(要は誰でも良い訳で)、地雷のような案件で無邪気にハイレベルな結果を求められるという有様を前にして、もはや国会中継や猫動画に現実逃避するしかないわけです。以上のジメジメした話は、主に自分自身の経験に基づく訳ですが、そうした苦く世知辛い時間を耐え抜いて人間も鍛錬されていくわけでして(今の若者はおじさんと同じ辛酸を味見する必要はないと思います)その上でようやく見えてきた地平というものもございます。一般論としての有用さがあるかは分かりませんが、弊社が手探りで培ってきたディレクションのポイントなんぞをまとめ、次回の投稿で解説したいと思います。同じような業界で仕事をする方はもちろんですが、異なる業界や分野においても応用出来る中身となるよう考察します。プリントアウトしてあなたの物分りの悪い上司や社長のデスクにも、そっと置いてあげてください。ところで最近「パラメーター(parameter)」と「バロメーター(barometer)」を誤用する人に立て続けに遭遇しましたので、明日は我が身、お互い気をつけましょう。では続きは4月に。

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