2019-07-26

フレッシュな属人&標準ミックスジュース

参院選も終わり、個人的には様々な潮目の変化が感じられ、興味深い趣がございました。政治からは以上です。

属人化という状態についてはこれまで「何となく良くないんだろうなー、変えなきゃなんないんだろうなー」そんな程度に呑気に、しかしモヤモヤと。ただ関連した指摘は以前から度々受けています。正確には属人化そのものに対して、というより「えーっと〇〇さんに、もし何かあったらこのプロジェクトどうなるんですかね?」的なご心配を頂戴していた。つまり「お前が事故や病気やら、行方不明やら、さらには死んだりして戦線離脱した日にはバックアップ出来るわけ、おたくの会社?」的な。柔らかな問いかけはそうした心の叫びと受け留めております。「いやぁそれはまぁ大丈夫っすよ!ゴニョゴニョ…」そんな返しなどとっくに通用しないし。きちんとこの問題に向き合ってこなかった、否、向き合う余裕などなかったのです。「属人化≒駄目なこと」そんな風な借りてきた認識のまま、あまり考えもなくここまで来たわけですね。

多くの組織でも似たような問題があるとは思います。有能な人間につい頼り切って放置の末の惨事とか、あるいは自らの居場所や立場を脅かされぬよう保身から生じる(中間層で起こりがちな)属人化、はたまたトップやマネジネントの怠慢からくる属人化、単純に洗練度が低い組織。他にも色々なケースが考えられる。で、属人化を克服するためにどうするのかと言えば、組織の現状を正しく評価し透明性を高め、標準化や均質化をゴールとして様々な施策(人事や評価制度やマニュアル化、教育制度、システム・仕組化等でしょうか)を繰り出すことになる。現象への対症療法とも言えますね。私はと言えば「とにかくこうしたことに取り組んで行かなければ!」と、これはもう否応無いテーマに違いないと思考停止していたわけです。弊社のような零細の戦略・クリエイティブ系でイメージするなら、素質や素養のある人材を獲得、これまで個人に集約されていた能力を分析・分解、再構成してメソッド化・マニュアル化、制作環境の整備・強化、現場や座学で辛抱強く教育、情報やノウハウや洞察をさらに辛抱強く共有、バディ制度等も検討し、ある程度確立されたレベルのチームを形成し運用する、そしてまた試行錯誤の変化を繰り返す…..そのための有形無形の膨大な時間とコストを吸収、精神衛生…..気が遠くなるわ。

ここでちょっと待って欲しいのだが、属人化は本当に駄目な事なのだろうか。これまでの思い込みやバイアスの外側に立ちたい。

コモディティの事業なら分かる。とっとと改善に着手すべき。しかしながらクリエイティブ業界(と言ってもピンキリですが)や構想やコンセプト設計、高度なマネジメント、対人折衝能力、特殊な技術、タレント性、職人や作家性、これらの複合、etc、属人に頼らざるを得ない業界や分野、AIさんやロボットさんでは代替が効き難い領域、さらには一企業の中でも前述の要素を担う部署や立場においては、標準化なんてナンセンスな話ではないのかな。このあたり事業戦略と照らした上で属人化と標準化の線引きや配合を独自にデザイン、またはカスタマイズして行かざるを得ないと思う訳です。現代の日本社会や先進国のビジネス環境からすれば、一見コモディティビジネスであっても、これそのものが事業目的ではなく、その先の果実のための手段や装置と理解して戦略を描かないと(フリーの経済どすな)、どこを切って評価しても先細りですよね。ユニークな付加価値、生産性、持続性を生み出そうとするなら、標準化を果たして一息、すぐにまたルールの刷新や変数に対応しようと右往左往するよりは最初から属人化の適切な運用を組み込む方がこれからの時代にフィットするように思います。あまり白黒つけずに少々曖昧な組織運営くらいで丁度良いのかもしれない(規模や分野に依るが)。とは言え会社・企業・事業としては約束や契約を遵守するよう努めなければなりませんし、一方、注文書通りに仕事を果たすだけではコモディティですから数多の発注先の一つにしかならない。

アンビバレントと感じるのは、組織内部は属人化を嫌いながら会社・企業としては属社化を指向するという点。ちょっと都合が良すぎるかも。この辺りの洞察の中に「属人化を歓迎、組み込み、適切に運用するヒント」が隠れているように思います。翻って再び弊社に戻せば、属人の力強さと標準の安定感、それぞれのメリットやリスク要素を整理し、ユニークな素材でちょうど良いフレッシュジュースを創り続けるしかないなと結論しております。過去には経験豊富な(という触れ込みの)人材にディレクターとしてプロジェクトを任せた挙げ句、進捗が見えない、蓋を開けると火が噴いたという事案が幾度かございました。そんな時には即座に引き取り仕切り直し、きっちり着陸させてきた(私が≒属人)。本質的な理解や備えでチームの誰もがスーパーサブとして立ち回ることができる、理想でしかないと思い込んでいたが、意外にあっさり可能かもしれない。要は高水準属人ベースで泳ぎつつ、肝心な救助・救済が出来れば良い訳だから。そんな事を思考実験しつつ、新たな人材をリクルートして行く予定です。メディアとして次世代にバトンが渡せれば、この上ない事です。

 

 

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