01.アプローチ (Approach)
ブランドデザイン・プロジェクトは常に未知への開拓です。
ブランドは固有の存在であることが予め包含されていますし、全く同じ人物は世の中に存在しない以上、過去に通った手法を目の前のクライアントに当て嵌める事はふさわしい態度とは言えません。私たちORIGAMIにも、経験により発見したメソッドや得意とする型、文脈を踏襲しようとする慣性がありますが、いかにそれを打破し、真っ新な状態で臨めるかが試されています。
ORIGAMIの基本的な姿勢として、クライアントの事業やブランドの発展・持続性に貢献する道筋を追求し、独自戦略のあり方、そのために必要となる手法やコミュニケーションツールを企画・実装しますが、クライアントとORIGAMIの認識や価値観、思想(主に重要性や緊急度、完成度、事業スケール感、事業社会性、美意識、芸術性、デザイン観、世界観)に大きな乖離があったとき、これを無視して尚早に仕事を組む事は成功確率を低めてしまいます。
まずは、両者の基本姿勢を理解し合うための場を設け、面談、セッションを行います。
その際に、ある程度の予算感や経営資源についてのお話もお伺いします。
クライアントの有形無形のリソースを適切に把握することで的確なプランニングのイメージを描くとともに、見当違いな提案となることを避けるためです。
これまでもパッケージラベルデザインを低予算で請け負った事や名刺や構想のみのデザイン、一方、まとまった予算の組まれた3年を超えるブランディング・プロジェクトなど様々です。
経営環境や事業の状況、規模、社員数、求めたい変化と経営実態とのギャップ、必要な施策や取り組みの期間、経営資源、事業の方向感等、クライアントによって土台や背景は全く異なります。
商圏や流通、デリバリーのスケールの違いによっても確率を求めるための変数や選択は絶えず変化します。まずはお互いに信頼に立ち、腹を割って対話をしてみましょう
- ORIGAMIではお仕事の依頼や契約の有無に関わらず、最初のセッションから機密情報における守秘の誓約書をご提示しています。
その上で最善と考えられるご提案をいたします。
World View / コアとなる世界観
目の前の存在がどんな世界観に立っているのかを洞察し理解することは最も重要です。なぜならクライアントの事業においては経営トップや経営陣の世界観がすべての価値基準や思考を司っているからです(非上場の場合)。
クライアントの世界観の断片からでも理解に繋げることができれば、デザインの方向感は浮かび上がってきます。 他方、世界観に合致しないデザインは初期設定から違いますから、その後の設計はチグハグなものになってしまいます。
世界観に合致しないデザインやアウトプットを手にしたところで(それがどれだけクールに見えても)、クライアントの中に存在しないもの、釣り合わないスケールは扱いようがありません。まずは世界観とその方向感に叶っていることが、持続と発展のための条件です。
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Hearing : ヒアリングでよく知る
ブランドディレクターの視点でクライアントの現状、取り巻く環境や状況を把握します。様々な角度からインタビューを行い、展望や事業の動機、経営資源、ビジネスのタイミング、業界の動向、一体誰が顧客でインサイトでは何を求めているのか、そうしたポイントをセッションの中でヒアリング、意見交換します。
この場で弊社からの見え方、見解をお伝えすることもあります。 -
Research : リサーチする
経営、事業、商いの現場・現地へと足を運びます。クライアントにとっては日常の風景かもしれませんが、ブランドディレクターの新鮮な視点から眺めると様々な情報を得ることができます。
同時に競合やベンチマーク、業界の動向、潜在的な脅威やリスクについても調査を行います。
有用な情報を網羅的に機微をもって仕入れることで、これに続く工程には精度の高い思索が装備されて行きます。 -
Idea : アイデアをすくいあげる
アイデアは構造的なほど価値があります。
真に優れたアイデアは前後左右斜め、階層、異なる文化、時間軸からのフィードバックに応え、超えていきます。
ここでデザインの方向性やインスピレーションとなるコアなアイデアを導き、すくいあげます。本質的なアイデアは事業のブレークスルーを手繰り寄せます。 -
Concept : コンセプトを特定する
コンセプトは単なる考え方ではなく、ビジネスやブランドに戦略的な道筋を示すものであると同時に卓越したポジショニングです。 コンセプトは新たに作るものと言うより、既にあるものを特定することです。
発見し組み合わせ、キュレーションし、ときには転回、特定に達します。
パワフルなコンセプトがパワフルな言葉を生み、パワフルな商品やサービスを生み、パワフルなコミュニケーションを内外的に生み出します。
そして、パワフルなコンセプトはパワフルなネーミングに直結します。 -
Planning : 展開を計画する
コンセプトが特定されれば展開は自ずと導かれていきます。
クライアントの経営資源やビジネスのタイミングと照らし合わせながら、展開案を策定します。重要な施策や優先事項、タイミングを逸してはならない物事を整理しながら、貴重なリソースが分散しないようにフェーズを分けてディレクションします。この段階で実装するデザインのリストがほぼ確定します。
ブランドにとって必要なモノを必要な分、施策に盛り込みます。
そして、機を逸すことのないタイミングは全ての要です。 -
Design : デザイン、実装する
CI VI BI / シンボル・ロゴタイプ / ブランドのメッセージ・ステートメント / 名刺や封筒を始めとする各種アプリケーションツール / 商品デザイン / パッケージデザイン / パンフレットやリーフレット / WEBデザイン / 広告クリエイティブ / ポスターやフライヤー / サイン計画とデザイン / ショップのグラフィック / 空間デザイン等、ブランドのタッチポイントを網羅するデザインを実装し世界観を統一、価値あるブランド体験を創り上げます。
ここまでのプロセスでクライアントとは十分に意見を交換しイメージを共有していますから、齟齬が生じることはほとんど皆無です。 -
Management : ブランドをマネジメントする
デザインは目に見えるものだけではなく、プロジェクト自体やブランドマネジメントのあり方も当然含まれるものです。デザインやブランドが確かな運用の軌道に入るよう、運用マニュアルやガイドラインを策定しクライアントを支援します。 また、要請に応じ外部CBO(Chief Branding Officer)として深くコミットメントします。そうして保守管理されたデザインやブランドは経年でも崩れることはなく、むしろ社会の中で磨かれ、評価と実績を積み重ね、信用と愛着を獲得し、やがては立派なブランド資産となっていきます。
有機体のように自律するほど社会に浸透するような素晴らしいケースも生まれます。
02.ブランドの構成体系 (Brand structure)
ブランドデザインは経営全体のデザイン
ブランドは一面や一要素から成るのではなく土壌と実体、コミュニケーションの事業生態系をチューニングし続ける事により結晶化される有機体です。
ORIGAMIでは以下に表すブランドの構成体系を包括する現状評価とデザイン・アプローチにより、対症療法的な部分最適ではなく、あくまでも全体最適を志向し、クライアント事業への本質的な提起を繰り返します。
ブランドデザインの構成体系
- 経営の土壌を創る
- 企業の思想体系と事業構想の構築
- 戦略的事業領域・生存領域の特定
- 組織の在り方、機構のデザイン
- 経営資源の調達・運用・配分
- 経営・事業戦略
- 事業の実体を創る
- 価値ある事業・商品
・サービスの開発 - 組織運営システム、
各種制度のデザイン - 企業風土・企業体質の健全化
- 総合的なリスクマネジメント
- 経営・事業戦略
- コミュニケーション戦略
- ブランドと社会との
関係を創る - ブランドのコア・骨格となる
要素のデザイン - 展開デザイン、
アプリケーションデザイン - ブランド体験のデザイン
- ブランドの管理、運用、
マネジメント - 経営・事業戦略
- コミュニケーション戦略
ブランドデザイン(ブランディング)は、コミュニケーションデザインだけでは成立しません。経営の土壌、事業の実体、社会とのコミュニケーションの全てが渾然一体となり、調和し続けることで初めて実現し得る境地です。ブランドデザインの中長期戦略には適切なタイミングでのリブランディングも含まれます。
03.ブランドの抽象レベルとスケール (Brand abstraction level and scale)
社会の認知空間のどこに居場所を置くべきか?
ブランドデザインにおいてブランドの抽象レベルとスケールの見極めは、重大なディレクションでありチューニングです。
例えばローカルなのかナショナルなのかアジアなのかグローバルなのか、目指すスケールや対応するリソース、環境や状況の変化、フェーズの踏み方や移行期間、さらにはコモディティなのか機能なのか品質なのか情緒なのかビジョンなのか、総合的な洞察と戦略に基づいてポジショニングとマネジメントを設定しなければなりません。
一般論として抽象レベルが上げれば佇まいは洗練され、スケール感を持つ展開にフィットしますが、ブランドの実体を評価したときに、そのポジションに見合った実体力を有していなければ市場や顧客に支持される事は無く、ブランドはそのまま息絶えてしまいます。
ローカル完結のコモディティブランドが抽象度を上げすぎるとほぼ例外なく苦戦します。苦戦を見越した(長期戦に耐えうる)資金の準備や調達の術があるのなら周到な計画はその内に実を結ぶかもしれませんが、レアケースです。
リブランディングならば現在の顧客を戸惑わせずに、緩やかな段階を踏みながら移行後の抽象レベルとスケール設定に感応する潜在顧客を特定し時間軸も踏まえた包括的なブランドディレクション、マネジメントを実施する必要があります。
ブランドの抽象レベルとスケールの設定には冷徹とも言えるブランドの実体や実力への査定が欠かせません。
ブランドデザインに取り組む現場はどうしても理想や楽観が勝ってしまう雰囲気に覆われますが(それもまた尊いものですが)、そうすると大抵、抽象レベルとスケール設定を見誤りやすいのです。
ORIGAMIでは独自メソッドのマトリクスを用いて、ブランドの生存確率を高める絶妙なポジショニングを見出します。
同時に競合の洗い出しとポジション評価、そして顕在・潜在顧客の存在する領域とインサイトを仮説し、これらを統合した俯瞰点からブランド戦略を導き出します。