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2024.10.25

第3のディレクション

第3のディレクション

現在進行形でいくつかの事業デザインや商品企画・開発が進行しています。プロセスの詳細を明かせない為、多少遠回りの表現になってしまう事をご容赦ください。

とある嗜好性食品。
ORIGAMIに託したクライアントから最初に構想を聞いたとき「その事業化には無理がある」と直感しました。
市場の消費行動がここまでに防衛的かつ“超選別的”か、極となる“超ルーズ”なマインドへと分裂している現実をひとまず超えて行く必要があるからです。
ただしその直感を、論理的・体系的な根拠ある見立て情報として翻訳し伝えなければ、それはORIGAMIサイドの単なる感覚や先入観に過ぎないとして処理されてしまいます。
一方、自らの直感に疑いを持たず、バイアスを強化する為の理屈を後付けするようなアプローチは避けなければなりません。
また、クライアントの経営を危険に晒すような軽率な同調や承諾は“以ての外”という事になります。

ここにはクリティカルな複眼と「無理は無理」で終わらせないブレークスルーとなるディレクションのアイデアとの“拮抗”が必要です。それはつまり、有力となる事業戦略の仮説となります。
クライアントの温めていた初期構想の可能性評価にはリソースの的確な把握はもちろん、社会や経済の情勢、顧客心理(顕在・潜在顧客の特定含め)、事業リスクやデメリット、不測事態の想定も含めて多面多重の情報を整理・構成します。その上で初期構想を全否定するのではなく、これを応用し転回する“第3のディレクション”を提示するのです。素材は同じでも提供する状態、価値や意味は全く異なった姿を帯び、そこから思いもよらなかったコンセプトが立ち現れます。

こうした議論を土台とし、商品企画やプロトタイプ開発、様々な調達等と併行してコミュニケーション設計に着手して行きます。このとき常に重なるレンズは「これを手にした人の心に、そのテーブルや空間に、強い感動や心地よい心象が生まれるのか」という事。これこそが目的です。“心の時代”ですね。
だからこそ、開発フェーズに入ると、顧客の顔が見えにくくなる傾向を打破し続けるクレイジーさが大事です(笑)。これはディレクターの力量と言えます。

ブランドデザイン(ブランディング)はすでに事業実体側が十分な実力や価値を備えている場合には、コミュニケーションの最適化やブランド体験のデザインだけで成功する場合もあります(裏を返せば実体とコミュニケーションは対の条件)。そんな風に恵まれた条件であれば、ブランディングを志向するデザイナーならおそらくスムーズに取り組みやすいはずです。
しかし多くの場合、事業実体から、或いは事業実体とコミュニケーションデザインとを包括併行的にアプローチする事により新境地に立つことが可能となります。そうした意味においては中小零細事業者の方が当事者性を持ちやすく、ダイナミズムを発揮しやすい。

この嗜好性食品のブランドデザイン・プロジェクトでは、事業主体者がORIGAMIの提示した“第3のディレクション”に納得、共鳴し順調に進行しています。そこには2024年(リリースは2025年)現在の日本社会、人の心理や購買行動、近未来予測、ものづくりに求められる態度、顧客の心に沸き起こる感動、流通やデリバリー、プライシングやプレースメント、新鮮で質の高いプレゼンテーション等、それらを総動員し、効果的に独り歩きしてくれる体系的なメカニズム設計が実装されて行きます。
ORIGAMIサイトのメインビジュアルに置いた言葉「誰かの心が動くとき、ブランドに命が宿るとき」。その結果、社会に活力が注がれ事業主体者は事業の新たな柱を得る。まさにブランドデザインの醍醐味と言えます。