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2020-12-15

地雷原に踏み出しているわけですが

謂わゆる“地雷案件”と言うものがあります。外れくじや貧乏くじのようなニュアンスも含まれるかもですね。
会社なり組織なりに属さないフリーランスの方にとっては後ろ盾の無い中で死活に直結する事もあるでしょうから、
これの嗅ぎ分けに敏感になったり、ディフェンシブ(時に懐疑的)になるのは仕方ない面も分かります。今の時世は特にそうですしね。
んで、“地雷案件”に共通する気配のようなものをシェアし合って盛り上がっている様を遠目から見ていると、それはそれで内向きに過ぎる気もしています。
もちろん誰だって(弊社だって)恵まれた予算やスタッフや環境、理解あるクライアントとで伸び伸びと仕事したいよね。
有限の中でクライアントに貢献し、世に出て誇れるような、自分やチームの市場価値が高まるようなアウトプットをしたいよ。

「だけどそんな理想郷のようなプロジェクトやオファーって滅多になくね?」

いや明らかにおかしい話や怪しい話、自らの価値観やモラルに反する話なら、やんわりといなせば良いじゃ無いですか。
残念ながら分け合うことのできない共存の難しい人やセコい魂胆の人はいるし、
稀に悪意を隠して微笑みながら近づいてくる人もいる。
他方、決裁権の無い担当者とのやりとりで説明や根回しの為の予備資料等を膨大に作成しなければならない、
意思決定が遅く度々覆る等は大手企業がクライアントなら日本社会の日常なので“地雷”には該当しない、これはまだまだ仕方無い。
そうしたコストやストレスは吸収できるようバッファとして予め確保しておく。

でも駆け出しだと実績も信用も担保も無いし、
誰も私の事を知らない訳で不利と言える状況下で少しづつ景色を変えていく以外方法ありますか?
面倒ごとや不条理な仕打ち、相手さんの気まぐれや感情に振り回されたり、足下見られて舐められた態度をとられたり、処し方の分からない自分に腹が立ったり。
そうこうしているうちに時間だけは流れ作業には追われ、いつまでも納品できずにお金は入って来ない、それでは心身痛みますしね。
そもそもなんだけどフリーランスってこうしたリスクを引き受けながらも、自由にサバイブすることの喜びが上回らないでいて成立するものですかね。
たまには気心知れた同じレベル感の仲間で集会を開き、地雷案件話しで盛り上がるのも吐け口としては良いでしょうけど、
痛みたくないからと仕事まで内輪だけで回しはじめると、それこそ気付きや成長や健全な対立も遠くなり、未来はどんどん細って行くような気がします。これでは元も子もない。一見涼しげに軽やかに仕事をしているように見える人にだって、そのステージに見合った地雷はあるよ。

「地雷上等!肉片でも食っとけ!」とか極端に振り切るともはや厄介な肉弾でしかないから、地雷の方から避けられて別物になって行くでしょうけど、もう少し中庸に社会という地雷原を歩き続けるしかないし、そうならば爆弾処理の術を身に着ける他ないよね。
あと、ほとんどの地雷は地雷の自覚すら無いですから。多くのケースは誰も悪気なんて無く、ただそこには構造的な問題が横たわっている。
だから“地雷を避ける”という失敗を忌避する消極的な態度よりも、いかに失敗を乗り越えるか、あるいは良く無い状況を打開するかという態度の方がフリーランス(主としてクライアントワーク)や事業者としては妥当だと思うのですよ。
地雷を避けて恐々とするのではなく地雷をマネジメントする方が大きくなれる。
突き詰めればお金と倫理観と人間関係の問題(そして自らの不安・及び腰)だと思うけど、本当にアカン時は筋を通した上で撤収、または敗戦処理すれば良い。誰かの力を借りても良い。手前味噌ですが、傭兵として地雷処理にお声が掛かるほどには強靭になりました。
弊社の基準は地雷さばき上等、未知の暗闇に手を突っ込むからチャンスや展開も生まれる。ただ一つ腐臭漂う雰囲気はダメです。

2020年まだまだもう一踏ん張り。

補足(少し質問を頂いたので):2020.12.16

・もちろん契約書を交わす、着手金や前金をいただくという折衝や手続きも、やれるならやれば良いと思います。弊社も基本的に行います。クライアントには「面倒臭い人だな」と思われるかも知れませんし、「しっかりした人だ」と安心する人もいるでしょう。できるだけギクシャクさせずにスマートに淡々と行えば良いと思いますが、これらの事は実は本質ではありません。また、折衝や手続きに躍起になってタイミングを逸すのであれば論外となります。

・与信という言葉はご存知かと思いますが、特に新規の取引の場合、一応相手方の経営実態をリサーチする事も大事です。Google検索や法人の情報が得られる便利な行政のサイトもあります。全国の会社の登記簿もオンラインで取得できますし、GoogleMapで会社の外観を眺めて雰囲気を感じるのも良いでしょう。まとまったバジェットのオファーなら民間の調査会社に依頼してみる手もあります。弊社も逆に何度か調査の電話や訪問を受けたことがあります。

・全く同じ案件であってもAさんはとんでもない地雷案件と認識し、Bさんは「地雷?何それっ」と何ら意に返さない事もあります。おそらくは経験値も含め仕事が始まる以前の問題も多分にあります。クライアントや仕事との出会い方、テーブルのつき方、そこから勝負あり、という感じです。

・クライアントと直接の取引を望むのか、そうでは無いのか、いずれかのスタンスで随分と戦略や振る舞いも変わりますので、ここははっきりした方がリソースの消耗を防げますね。

 

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