ブランドデザイン : 株式会社折紙 / ORIGAMI INC. | 沖縄 – 東京

2018-12-28

新時代のデザインファームが見える

縁有る人には常々話していることだが、沖縄から世界市場でタメを張れる、あるいはそれ以上のデザイン会社を創る事はすでに可能だと言う事だ。他方、沖縄には残念ながらユニークで付加価値の高い事業は少ない。それはおそらく全国の地方と比較しても…。理由を充てれば色々ある。流通だとか技術、基礎研究、設備、資本、人材、設計力、特殊な社会構造、メンタリティー等。しかし平成も10年を経た頃からポツポツと萌芽が見え始めた。それまではハリボテ、モノマネ、子供騙し。東京で火が付いたコンテンツを劣化コピーし、2〜3年遅れで沖縄に持って来てもそれなりの商売になった。東京の流行りだってロスやニューヨークから着想を得たものが多かったけど。戦後、スケールの大きな豪腕経営者達が切り拓いた事業、そのフォーマットを踏襲し経済成長、人口ボーナスに肖れた昭和は、前のめりな位で丁度良かった。あれから30年、節目の特等席、平成仕舞いの年、沖縄からユニークで付加価値の高い事業、社会的インパクトをもたらす事業を興す土壌は整ったように思う。ここで我々に課せられたテーマは意義あるビジョンを構想すること、パワフルなコンセプトを開発すること、そして実体化し戦略的に行動を起こすことだ。これらの中心となる人を支えてもいい。

デザインという仕事は多岐・他分野に渡るが世の仕事と比較しても普遍的な仕事のひとつと言える。これからの業としてのデザインは格段にエキサイティングな活動へと変化していくだろう。様々な領域を横断し縦横無尽に洞察し知見を集め、より高度なソリューションを実現することができる。材料はもはや充分に揃っている。箱の中の仕事をしている人はテクノロジーに代替されるが、一方でこのからくりに気づいている人には大きな機会と充足感、経済的な豊かさが待っている。もし沖縄の会社、沖縄に拠点を置く事業者が普遍性あるクールな仕事で世界を高揚させたなら、どれだけの若者にインスピレーションをもたらせるだろう。直接に講釈するより、よほど説得力があるし何より心が揺さぶられる。「自分にだって何かやれるんじゃないか?」そんな感染が生まれれば上々だ。物質・情報の両面で飽和した今の日本でインスピレーションを生まないものを増やす事に何の意味があるのか。デザインのリソースをもうそんな事に使ってはいけないのだ。IDEOが独立系を捨て博報堂の資本を受け入れたりマッキンゼーがデザイン会社を買収したり、戦略やデータサイエンス、テクノロジー、デザイン、クリエイティブがうまい配分でミックスされたなら絶大なソリューションシステムを創りだせる。

さらに言えばこれに加え、社会学や地政学、環境学、医学、心理学、哲学、ソーシャルワーカー、NGO、レストランシェフ、スピリチュアリスト等もシームレスに貫通されるだろう。デザインの定義、デザインのコンセプトは大きく更新されるように思う。さて、世界はそんな段階に達しているわけだが沖縄でデザインやクリエイティブに従事している皆さんはどうだろう。こんな小さな島で牽制し合ったって仕方ない。沖縄には優秀なデザイナーやクリエイターが多いがいかんせんビジョンやコンセプトに欠ける。ちなみにORIGAMIではデザイナーやクリエイターの新しい共助・共創システムを構想中だ。それぞれの独自性を担保しながら相互補強、相互補完、プロジェクトベースの機動的なチーム、福利厚生、仕事のリスクヘッジやバックアップ体制等を包括したイメージとなる。私はこのブランドデザインという仕事が大好きだから、出来れば死ぬまで探求したい。この仕事はいつも新しい世界と新しいテーマをもたらしてくれる。新しい人に出会わせてくれ、見た事のない場所に連れて行ってくれる。語弊はあるが最高の趣味だ。この会社の経営は早めにニュータイプの女性リーダーに譲りたいと考えているが、私はこの会社で仕事を続けさらに大きなテーマに挑みたい。小さくまとまっている場合ではないのだよ。

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